椎間板ヘルニア(首)の原因を究明!痛みに効果的な改善策とセルフケア

首の椎間板ヘルニアによる痛みやしびれに悩んでいませんか?この記事では、つらい症状の根本的な原因を徹底的に解説します。さらに、痛みを和らげ、改善に導くための効果的な方法や、ご自宅で実践できるセルフケア、再発を防ぐための生活習慣まで、網羅的にご紹介します。適切な知識と対策を身につけ、つらい症状からの解放を目指しましょう。

1. 首の椎間板ヘルニアとは?その基本を理解する

1.1 首の椎間板ヘルニアの定義と症状

私たちの背骨は、多くの骨が連なってできており、それぞれの骨の間には「椎間板」というクッション材が挟まっています。この椎間板は、日常生活での衝撃を吸収し、背骨の動きをスムーズにする大切な役割を担っています。

首の椎間板ヘルニアとは、この首の部分にある椎間板が、何らかの原因で正常な位置から飛び出してしまい、近くを通る神経や脊髄を圧迫することで、さまざまな症状を引き起こす状態を指します。正式には「頸椎椎間板ヘルニア」と呼ばれます。

神経が圧迫されると、その神経が支配する領域に痛みやしびれが現れます。首の椎間板ヘルニアの場合、首の痛みだけでなく、肩、腕、手、指にかけて、放散するような痛みやしびれを感じることが特徴です。具体的には、以下のような症状が現れることがあります。

  • 首を動かしたときの痛みや、首から肩甲骨にかけての重だるさ
  • 腕や手のしびれ、ピリピリとした感覚異常
  • 指先の感覚が鈍くなる、または触れた感覚が分かりにくくなる
  • 箸が使いにくい、ボタンがかけにくいなど、細かい作業がしにくくなる
  • 腕や手に力が入りにくくなる筋力低下

これらの症状は、どの椎間板が飛び出し、どの神経が圧迫されているかによって、現れる部位や程度が異なります。

1.2 首の椎間板ヘルニアと間違いやすい病気

首や肩、腕、手にかけての痛みやしびれは、椎間板ヘルニア以外にも多くの病気で現れるため、症状だけで自己判断することは難しいものです。ここでは、首の椎間板ヘルニアと症状が似ていて、よく間違われやすい病気をいくつかご紹介します。

ご自身の症状がどの病気に当てはまるのか、不安に感じている方もいらっしゃるかもしれません。それぞれの病気の特徴を知ることで、症状への理解を深めることにつながります。

病気の名称主な症状の特徴椎間板ヘルニアとの主な違い
頸椎症加齢による頸椎の変形が原因で、神経や脊髄が圧迫されます。首の痛み、肩こり、腕や手のしびれ、筋力低下などが現れます。椎間板ヘルニアは椎間板自体の突出が原因ですが、頸椎症は骨の変形や骨棘(とげ)の形成が主な原因です。症状は似ていますが、根本的な原因が異なります。
胸郭出口症候群首から腕へ向かう神経や血管が、鎖骨や肋骨、筋肉の間で圧迫されることで起こります。腕や手のしびれ、だるさ、痛み、冷感などが特徴です。腕を上げたときに症状が悪化しやすい傾向があります。椎間板ヘルニアは首の動きで症状が変化することが多いですが、胸郭出口症候群は腕の位置や姿勢で症状が誘発されやすいです。
頸肩腕症候群首、肩、腕にかけての広範囲な痛み、だるさ、しびれなどが慢性的に現れます。特定の神経圧迫というより、姿勢の悪さや長時間の作業、ストレスなどが原因となることが多いです。椎間板ヘルニアのように特定の神経根症状(例えば特定の指だけがしびれるなど)が明確でないことが多いです。より広範囲で漠然とした症状が特徴です。
肩関節周囲炎(五十肩)肩関節の痛みと動きの制限が主な症状です。特に腕を上げたり、後ろに回したりする動作で痛みが強くなります。夜間に痛みが強くなることもあります。肩関節自体の炎症が原因であり、首や腕、手のしびれは通常現れません。椎間板ヘルニアは神経症状が主ですが、肩関節周囲炎は関節の動きの制限が顕著です。

これらの病気は、症状が似ていても原因や治療法が異なるため、ご自身の症状について詳しく理解し、適切な対応を検討することが大切です。

2. 首の椎間板ヘルニアの原因を徹底解説

首の椎間板ヘルニアは、日常生活における様々な要因が複雑に絡み合って発症することが少なくありません。ここでは、その主な原因となる要因と、発症しやすい人の特徴について詳しく解説します。

2.1 椎間板ヘルニアの主な原因となる要因

首の椎間板ヘルニアは、椎間板に過度な負担がかかることで、その内部にある髄核が飛び出し、神経を圧迫することで発生します。この椎間板への負担は、以下のような複数の要因によって引き起こされます。

2.1.1 加齢による椎間板の変性

椎間板は、背骨のクッション材として重要な役割を担っています。しかし、加齢とともに椎間板の水分量が減少し、弾力性が失われて硬く変性していきます。これにより、外部からの衝撃を吸収する能力が低下し、椎間板を構成する線維輪に亀裂が入りやすくなります。特に首の椎間板は、常に頭の重さを支え、様々な方向へ動くため、老化の影響を受けやすい部位と言えます。

2.1.2 日常生活における姿勢の悪さ

日頃の姿勢は、首の椎間板に大きな影響を与えます。特に猫背や前かがみの姿勢、あるいは首が前に突き出たストレートネックのような姿勢は、首の生理的なカーブを失わせ、椎間板に不均等な圧力をかけ続けます。このような悪い姿勢が習慣化すると、特定の椎間板に集中して負担がかかり、ヘルニアのリスクを高めることになります。

2.1.3 長時間のデスクワークやスマートフォンの使用

現代社会において、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用は避けられない習慣となりつつあります。これらの活動中に長時間同じ姿勢を続けたり、うつむいた姿勢でいると、首や肩周りの筋肉が緊張し、椎間板への負担が増大します。特にスマートフォンを操作する際に首が大きく前傾する姿勢は、首の椎間板に非常に大きな負荷をかけることが知られています。

2.1.4 繰り返しの負荷や外傷

スポーツ活動や肉体労働などで、首に繰り返し強い負荷がかかる場合や、交通事故や転倒などによる直接的な外傷も椎間板ヘルニアの原因となり得ます。特に、首に急激な衝撃が加わる「ムチウチ」のような外傷は、椎間板に大きなダメージを与え、ヘルニアの発症につながる可能性があります。また、重量物を持ち上げる際の不適切な姿勢も、首に過度な負担をかける要因となります。

2.2 首の椎間板ヘルニアを発症しやすい人の特徴

首の椎間板ヘルニアは誰にでも起こり得るものですが、特定の要因を持つ人は発症リスクが高い傾向にあります。以下に、椎間板ヘルニアを発症しやすい人の特徴をまとめました。

特徴具体的な内容
年齢30代から50代に多く見られますが、加齢による椎間板の変性は誰にでも起こるため、高齢者でも発症することがあります。
性別男性にやや多く見られる傾向がありますが、女性も発症します。
職業・生活習慣長時間のデスクワーク、スマートフォンの多用、運転手など、長時間同じ姿勢を続けることが多い方。首に繰り返し負担がかかる肉体労働やスポーツをする方。
体型肥満の方は、首を含め全身の関節に負担がかかりやすく、椎間板への負荷も増大する可能性があります。
喫煙習慣喫煙は椎間板の血流を悪化させ、椎間板の変性を促進する可能性があると言われています。
遺伝的要因家族に椎間板ヘルニアを発症した方がいる場合、遺伝的な体質が影響している可能性も指摘されています。

これらの特徴に当てはまる方は、日頃から首への負担を軽減する生活習慣を意識し、予防に努めることが大切です。

3. 首の椎間板ヘルニアが引き起こす具体的な症状

首の椎間板ヘルニアは、首の痛みだけでなく、様々な神経症状を引き起こすことがあります。症状の現れ方は個人差がありますが、ここでは代表的な症状とその特徴について詳しくご説明いたします。

3.1 首や肩、腕の痛みとこり

首の椎間板ヘルニアの代表的な症状の一つに、首や肩、腕にかけて広がる痛みがあります。この痛みは、首を動かしたときに強くなることが多く、特定の動作で鋭い痛みが走ることもあります。痛みだけでなく、首や肩甲骨の周りに強いこり感や重だるさを感じることも少なくありません。

神経が圧迫されることで、首から肩、腕、手の指先にかけて放散するような痛みが生じることがあります。これは、神経の走行に沿って痛みが広がる特徴的な症状です。特に、腕を上げたり、首を後ろに反らしたりする動作で痛みが強くなる傾向が見られます。

3.2 手や指のしびれ、感覚異常

神経の圧迫がさらに進むと、手や指にしびれが現れます。しびれは、ピリピリとした電気のような感覚や、ジンジンとした鈍い感覚として感じられることが多いです。どの指にしびれが出るかは、圧迫されている神経の部位によって異なります。

しびれとともに、触った感覚が鈍くなる感覚鈍麻や、熱い冷たいといった温度感覚が分かりにくくなる感覚異常を伴うこともあります。これらの症状により、箸が持ちにくい細かい作業がしづらいボタンをかけにくいなど、日常生活に支障をきたすことがあります。

3.3 筋力低下と運動障害

神経の圧迫が長期間続いたり、圧迫が強かったりすると、神経が支配する筋肉に力が入りにくくなる筋力低下が生じることがあります。例えば、腕を上げるのがつらい握力が低下して物が持てないペットボトルの蓋が開けられないといった症状が見られます。

筋力低下が進行すると、腕や手の動きに障害が現れ、日常生活の動作がさらに困難になることがあります。症状が進行すると、日常生活における動作の質が低下し、精神的な負担も大きくなる可能性があります。

3.4 重症化すると現れる症状

椎間板ヘルニアが重症化し、脊髄本体が強く圧迫されると、より深刻な症状が現れることがあります。脊髄は脳と体の各部位をつなぐ重要な神経の束であり、その圧迫は広範囲に影響を及ぼします。

具体的な症状としては、両腕や両足にしびれや筋力低下が生じることや、歩行時に足がもつれるつまずきやすくなるといった歩行障害が現れることがあります。また、ごく稀ではありますが、排尿や排便のコントロールが難しくなる膀胱直腸障害が生じることもあります。

これらの重症化した症状が現れた場合は、速やかな対応が求められます。

首の椎間板ヘルニアの主な症状を以下にまとめました。

症状の種類具体的な特徴
痛みとこり首から肩、腕、指先にかけての放散痛、首の動きで悪化、肩甲骨周りの強いこり感や重だるさ
しびれ・感覚異常手や指のピリピリ・ジンジン感、触った感覚の鈍さ、温度感覚の異常、細かい作業の困難さ
筋力低下・運動障害腕や手の力が入りにくい、握力低下、物が持てない、腕を上げる動作の困難さ
重症化時の症状両腕・両足のしびれや筋力低下、歩行障害(足のもつれ、つまずき)、稀に排泄機能の障害

4. 椎間板ヘルニアの診断方法

4.1 医療機関での診察と検査

首の椎間板ヘルニアが疑われる場合、専門家による詳細な診察と検査が不可欠です。症状の正確な把握と、他の病気との鑑別を行うことで、適切な方針を立てることができます。ここでは、一般的な診断プロセスについてご説明いたします。

4.1.1 問診と視診・触診

まず、症状について詳しくお話を伺います。いつから、どのような痛みやしびれがあるのか、どのような時に症状が悪化するのか、日常生活で困っていることなどを確認します。次に、首や肩の動き、姿勢、筋肉の緊張具合などを視覚で確認し、実際に触れて痛みのある箇所や筋肉の状態を調べます。

4.1.2 神経学的検査

神経学的検査は、神経の障害の有無や程度を評価するために行われます。具体的には、以下のような項目を検査します。

  • 筋力テスト:腕や指の力を確認し、特定の神経が圧迫されている場合に生じる筋力低下の有無を調べます。
  • 感覚テスト:皮膚の触覚、痛覚、温覚などを確認し、しびれや感覚異常の範囲と程度を評価します。
  • 反射テスト:ハンマーで腱を叩き、正常な反射が起こるかを確認することで、神経の機能に異常がないかを調べます。

4.1.3 画像診断

神経学的検査で異常が疑われる場合や、より詳細な状態を確認するために画像診断が行われます。特に、椎間板ヘルニアの診断にはMRI検査が非常に重要です。

検査の種類目的と特徴
X線検査(レントゲン)骨の配列や変形、骨棘(骨のとげ)の有無などを確認します。椎間板自体は映りませんが、骨の状態や他の骨の病気を鑑別するのに役立ちます
MRI検査椎間板の突出や変性、神経根や脊髄への圧迫の有無を詳細に画像化できます。椎間板ヘルニアの診断において最も重要な検査とされています。
CT検査骨の詳細な構造や石灰化の有無を確認するのに優れています。MRI検査が受けられない場合や、より詳細な骨の情報が必要な場合に用いられることがあります。

4.1.4 鑑別診断の重要性

首の痛みやしびれは、椎間板ヘルニア以外にも様々な原因で起こることがあります。例えば、頚椎症、頚椎脊柱管狭窄症、肩関節周囲炎、胸郭出口症候群など、症状が似ている病気も少なくありません。そのため、これらの病気と区別し、正確な診断を下すことが非常に重要になります。専門家は、これらの検査結果と症状を総合的に判断し、最適な計画を提案します。

5. 首の椎間板ヘルニアに効果的な治療法

首の椎間板ヘルニアによる痛みやしびれは、日常生活に大きな影響を及ぼします。症状の程度や進行度合いによって、適切な治療法が選択されます。多くの場合、まずは保存療法から開始し、それでも症状が改善しない場合や、特定の重篤な症状が見られる場合には手術療法が検討されます。

5.1 保存療法による症状の改善

保存療法は、手術をせずに症状の改善を目指す治療法です。身体への負担が少なく、多くの椎間板ヘルニアの症状が保存療法によって改善すると言われています。ここでは、代表的な保存療法についてご紹介します。

5.1.1 薬物療法

薬物療法は、痛みを和らげたり、炎症を抑えたりすることを目的として行われます。症状に応じて、様々な種類の薬が用いられます。

  • 鎮痛剤・消炎鎮痛剤: 痛みを軽減し、炎症を抑えるために使用されます。
  • 筋弛緩剤: 首や肩周りの筋肉の緊張を和らげ、痛みを軽減する目的で用いられることがあります。
  • 神経障害性疼痛治療薬: 神経の圧迫によって生じるしびれや神経痛に対して、その痛みを和らげるために使用されることがあります。

これらの薬は、あくまで症状を一時的に緩和するものであり、椎間板ヘルニアそのものを治すものではありません。専門家の指示に従い、適切に使用することが大切です。

5.1.2 理学療法とリハビリテーション

理学療法とリハビリテーションは、首の椎間板ヘルニアの治療において非常に重要な役割を担います。症状の軽減だけでなく、根本的な原因へのアプローチや再発予防にもつながります。

  • 運動療法: 首や肩周りの筋肉を強化し、柔軟性を高めるための運動を行います。正しい姿勢を維持するための体幹の強化も含まれます。
  • ストレッチ: 硬くなった筋肉や関節の可動域を広げ、血行を促進することで、痛みの緩和や姿勢の改善を目指します。
  • 物理療法: 温熱療法、電気療法、牽引療法などを用いて、痛みや炎症を和らげ、血行を促進します。

これらの療法は、専門家の指導のもと、個々の症状や身体の状態に合わせて計画的に行うことで、より高い効果が期待できます。継続することで、首への負担を減らし、症状の改善や再発予防につながります。

5.1.3 神経ブロック注射

神経ブロック注射は、強い痛みやしびれがある場合に、その症状を一時的に和らげる目的で行われることがあります。痛みの原因となっている神経の周囲に、局所麻酔薬や抗炎症薬を注入することで、神経の興奮を抑え、痛みや炎症を軽減します。

神経ブロック注射は、即効性があり、つらい症状を短期間で和らげる効果が期待できます。しかし、その効果は一時的なものであり、根本的な治療ではありません。痛みが和らいでいる間に、理学療法やリハビリテーションを進めることで、より効果的な治療につなげることができます。

これらの保存療法は、単独で行われることもありますが、多くの場合、組み合わせて実施されます。症状の経過を見ながら、最も効果的な方法が選択されます。

治療法主な目的期待される効果
薬物療法痛みや炎症の緩和症状の一時的な軽減、日常生活の質の向上
理学療法・リハビリテーション身体機能の改善、再発予防筋力強化、柔軟性向上、姿勢改善、可動域の回復
神経ブロック注射局所的な痛みの緩和神経の興奮抑制、強い痛みの軽減

5.2 手術療法を検討するケース

保存療法を数週間から数ヶ月間続けても症状が改善しない場合や、以下のような重篤な症状が見られる場合には、手術療法が検討されることがあります。

  • 筋力低下が進行している場合: 腕や手の筋力が著しく低下し、日常生活に大きな支障をきたしている場合。
  • 排尿・排便障害がある場合: 椎間板ヘルニアが脊髄を強く圧迫し、膀胱や直腸の機能に影響が出ている場合。これは緊急性の高い症状です。
  • 痛みが非常に強く、日常生活が著しく制限されている場合: 保存療法では痛みがコントロールできず、睡眠や仕事、家事など、通常の生活を送ることが困難な場合。

手術は、神経を圧迫している椎間板の一部を取り除いたり、椎間板の安定性を高めたりすることで、症状の改善を目指します。手術の種類や方法は、ヘルニアの状態や症状によって異なります。手術は最終的な選択肢として、専門家と十分に相談し、リスクと効果を理解した上で慎重に検討することが重要です。

6. 自宅でできる首の椎間板ヘルニアのセルフケアと予防

首の椎間板ヘルニアの痛みや症状は、日々の生活習慣や体の使い方に大きく影響されます。医療機関での治療と並行して、ご自宅でできるセルフケアや予防策を実践することは、症状の緩和と再発防止に非常に重要です。ここでは、日常生活に取り入れやすい具体的な方法をご紹介します。

6.1 痛みを和らげるためのセルフケア

まずは、現在感じている痛みを和らげるためのセルフケアについて解説します。無理のない範囲で継続することが大切です。

6.1.1 正しい姿勢の維持と改善

首の椎間板ヘルニアは、姿勢の悪さが大きな原因となることがあります。日頃から正しい姿勢を意識し、首や背骨への負担を軽減することが重要です。特に、長時間同じ姿勢でいることが多い方は注意が必要です。

姿勢の種類良い姿勢のポイント避けるべき姿勢
座る姿勢深く腰掛け、背もたれに寄りかかり、足の裏全体を床につけます。膝の角度は約90度を意識し、骨盤を立てるように座ります。猫背になり、あごが前に突き出る姿勢や、浅く座り背中が丸まる姿勢は避けましょう。
立つ姿勢あごを引き、胸を張り、お腹を軽く引き締めます。重心を両足に均等にかけ、耳、肩、股関節、くるぶしが一直線になるイメージです。反り腰や、片足に重心をかける癖は、首や腰に負担をかけやすいので避けましょう。
スマートフォン・パソコン使用時画面を目線の高さに合わせ、首が前に傾きすぎないように注意します。休憩をこまめに取り、ストレッチを挟みましょう。うつむいてスマートフォンを操作したり、画面が低すぎるパソコン作業は、首に大きな負担をかけます。

6.1.2 首や肩周りのストレッチ

硬くなった首や肩周りの筋肉は、椎間板への負担を増大させ、痛みを悪化させる原因になります。無理のない範囲で、ゆっくりと首や肩のストレッチを行い、筋肉の柔軟性を高めましょう。

  • 首の前後屈ストレッチ: ゆっくりとあごを引いて首を前に倒し、次にゆっくりと天井を見るように首を後ろに反らします。痛みを感じない範囲で行ってください。
  • 首の左右側屈ストレッチ: 片方の耳を肩に近づけるように、ゆっくりと首を左右に傾けます。手で軽く頭を支えても良いでしょう。
  • 首の回旋ストレッチ: ゆっくりと顔を左右に振り向くように首を回します。肩が一緒に動かないように意識してください。
  • 肩甲骨回し: 両肩を大きく前回し、次に後ろ回しにします。肩甲骨を意識して動かすことで、首周りの血行促進にも繋がります。

これらのストレッチは、痛みを感じる場合はすぐに中止し、専門家にご相談ください。入浴後など、体が温まっている時に行うとより効果的です。

6.1.3 温熱療法と冷却療法

痛みの種類や時期によって、温めるか冷やすかを使い分けることが大切です。

方法適応時期・症状具体的な実践方法注意点
温熱療法慢性的な痛み、こり、血行不良が原因の痛み。筋肉をリラックスさせたい時。蒸しタオル、温湿布、カイロ、入浴(シャワーだけでなく湯船に浸かる)。低温やけどに注意し、熱すぎない温度で短時間から始めましょう。炎症が強い急性期には避けてください。
冷却療法急性の痛み、炎症、腫れがある時。運動後のアイシング。氷のうや保冷剤をタオルで包んで患部に当てる。冷湿布。直接肌に当てると凍傷の恐れがあるので、必ずタオルなどで包んで使用してください。長時間の冷却は避けましょう。

どちらの方法も、ご自身の体調や痛みの状態に合わせて選択し、無理なく行うことが大切です。判断に迷う場合は、専門家にご相談ください。

6.1.4 適切な枕の選び方

睡眠中の姿勢は、首の椎間板に大きな影響を与えます。ご自身の体型や寝姿勢に合った枕を選ぶことで、首への負担を軽減し、質の良い睡眠をサポートできます。

  • 枕の高さ: 仰向けで寝た時に、首のカーブを自然に支え、頭が少し沈み込む程度の高さが理想的です。横向きで寝る場合は、肩幅の分だけ高めの枕が適しています。
  • 枕の硬さ: 適度な弾力があり、頭の重さを分散してくれるものが良いでしょう。柔らかすぎると頭が沈み込みすぎて首が不自然な角度になり、硬すぎると首に圧迫感を感じやすくなります。
  • 枕の素材: 通気性が良く、寝返りを打ちやすい素材を選ぶと快適です。そば殻、パイプ、低反発ウレタンなど様々な素材がありますが、ご自身に合ったものを見つけることが大切です。

実際に寝てみて、首や肩に違和感がないか、呼吸がしやすいかなどを確認しながら選ぶことをおすすめします。

6.2 椎間板ヘルニアの再発を防ぐ生活習慣

痛みが和らいだ後も、再発を防ぐためには日々の生活習慣を見直すことが不可欠です。長期的な視点で、健康的な体作りを目指しましょう。

6.2.1 適度な運動と筋力トレーニング

首の椎間板ヘルニアの再発を防ぐためには、首や肩周りだけでなく、体幹の筋肉をバランス良く鍛えることが重要です。体幹が安定することで、首への負担を軽減し、正しい姿勢を維持しやすくなります。

  • ウォーキング: 全身運動であり、姿勢を意識して行うことで体幹の安定にも繋がります。無理のない範囲で毎日継続しましょう。
  • 体幹トレーニング: プランクやドローインなど、お腹周りのインナーマッスルを鍛える運動は、姿勢の安定に役立ちます。専門家から指導を受けるとより効果的です。
  • 軽い体操: 首や肩だけでなく、背中や股関節など全身を動かす軽い体操も有効です。血行促進や柔軟性の維持に繋がります。

運動は、痛みがない時に、無理のない範囲で、徐々に負荷を上げていくことが大切です。急激な運動や、首に負担がかかるような激しい運動は避けてください。

6.2.2 ストレス管理と十分な睡眠

ストレスは、自律神経の乱れを引き起こし、筋肉の緊張を高めることで、首の痛みを悪化させることがあります。また、十分な睡眠は、体の回復と疲労回復に不可欠です。心身の健康を保つことが、椎間板ヘルニアの予防と改善に繋がります。

  • ストレス管理: 趣味の時間を持つ、リラックスできる音楽を聴く、瞑想や深呼吸を取り入れるなど、ご自身に合ったストレス解消法を見つけましょう。
  • 十分な睡眠: 質の良い睡眠を確保するために、就寝前のカフェイン摂取を控える、寝室の環境を整える(暗く静かにする)、規則正しい睡眠リズムを心がけるなどが有効です。

心と体の両面からアプローチすることで、首の椎間板ヘルニアの症状緩和と再発防止に繋がるでしょう。

7. まとめ

首の椎間板ヘルニアは、加齢による椎間板の変性や、長時間のデスクワーク、スマートフォンの使用による姿勢の悪さなど、様々な要因が複合的に絡み合って発症します。首や肩、腕の痛みやしびれといった症状が現れた場合は、放置せずに早めに専門医へ相談し、適切な診断を受けることが重要です。治療法としては、薬物療法や理学療法などの保存療法が基本となり、必要に応じて手術も検討されます。また、日々のセルフケアとして、正しい姿勢の維持や首・肩周りのストレッチ、適切な枕選び、適度な運動などが症状の改善や再発防止に非常に効果的です。ご自身の症状に合わせた対策を見つけ、快適な生活を取り戻しましょう。何かお困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。

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整体院 樹 ~itsuki~痛み・痺れの改善職人
千葉県佐倉市で痛み・痺れの専門整体院を営んでいます。 プロボクサー兼スポーツトレーナーとして活動後、医療系国家資格を取得し、整形外科、整骨院、リハビリ型デイサービスに勤務。 保険適応内では改善の難しい痛み・痺れに特化した整体院を開業。 手術宣告された痛み・痺れを改善し続け、喜びの声を多数いただいている。
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